警鐘事例  
 
  事例
 No.102
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 CT撮影時の造影剤アレルギー発生
 
 
病院から報告された事故の概要
 

CTスキャンの検査のため、看護師Aが生理食塩水で血管を確保した。その後診療放射線技師Aが造影剤を点滴静注したところ、アレルギーによる気分不快と嘔気嘔吐が起こった。診療放射線技師Aは周囲に助けを求めたが、診療放射線技師Bが検査室に来てくれ、看護師と医師を呼ぶことができ、必要な対応を行った。

 
     
要因
 

CT造影検査では、アレルギーによる副作用が発現する可能性があるため、予約の時点で事前に詳しく書面を用いて説明を行った。書面での同意は得ていない。放射線科で、緊急時対応マニュアルが作成されていたが、不十分だった。放射線科には、救急カート、DC、ストレッチャー等の備品が備えられていない。造影検査時、医師・看護師が立ち会っていない。

 
     
病院で実施した改善策
 

1. CT造影検査では、アレルギーによる副作用が発現する可能性があるため、予約の時点で事前に詳しく書面を用いて説明を行い、書面で同意を得る。
2. 放射線科における、緊急時対応マニュアルを充実させる。
3. 放射線科に、救急カート、DC、ストレッチャー等の備品を備える。
4. 造影検査時、医師または看護師が立ち会う。

 
     
評価委員会からのコメント
 

造影CTは、実は大変危険なことであることが少なくありません。造影アレルギーの初期対応は迅速且つ的確でなければなりません。

この施設では造影剤テストをせず、投与が行われていると解釈します。副作用防止のための造影剤テストは、中等度以上の副作用の出現率は予想できない、テストが陽性でも異常がみられないことが多い、テストでも死亡する例があるなどによって、最近は行われていないことが多いようです。

副作用は通常約70%が造影剤注入後5分以内に発現するといわれていることを考えると、造影剤のテストをしないのであれば、開始後5分間は必ず医師・看護師が投与後の観察を行うこと、異常が生じた場合の体制を決めておく必要があります。緊急時にとるべき行動を日ごろより訓練を行うことや緊急時に対応できるような薬品・備品の整備も重要です。

また、事前の問診時にはアレルギー既往の確認をおこない、その情報が関与するスタッフ全員に周知できるようなシステムを考える必要があると考えます。

「放射線技師が造影剤を点滴静注した」とありますが、造影剤の注入や点滴静注については、医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ、患者に危害を及ぼす行為であると考えられているため、医師の指示の下であっても診療放射線技師が行ってはならない行為です。診療放射線技師の資格で行える業務を遵守すべきです。

 
 
 

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