(3) 改善策の検討
改善策の検討は、直接的原因に対してのみではなく、背後要因に対しても行う。また、「確認の徹底」などのように職員の意識に働きかけるような対策、注意喚起だけでは不十分であり、より具体化した実効性のある対策が必要である。事故防止のためには、個人個人が常に注意力を高めて日常業務に当たらなければならないことは言うまでもないが、多忙な日常業務の中で、高い注意力や集中力を常に持続することには限界がある。
「人間はエラーを犯す」という前提の下、「エラーを発生させない」、「エラーが発生しても被害を最小限とする」システムづくりが必要である。さらに、各部門の業務を安全性の観点から見直し、改善すべき点を院内全体の問題として扱うことで、組織的な安全管理が可能となる。特に、標準化、統一化、規則化の推進が重要であり、院内共通の業務や各部署の業務のマニュアル化を進め、業務の適切な遂行方法を確立することが、個々の業務における誤りを減少させることにつながる。
図3-5 対策立案(例)「輸液ポンプの設定間違いによる薬剤の過剰投与」
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1. 院内規定(各種手順等)の実施状況の把握
院内で規定している内容が現場で実際にどれだけ遵守されているかについて、各部署での実施状況を調査してみると良い。例えば、手順書と現状のギャップが明確になり、手順書の内容を見直す必要があるのか、職員指導に重点をおくべきなのか、その他に改善すべき点があるのかなど、立案する改善策の方向性を見出すことができる。
2. 院内規定(各種手順等)の検証と標準化
改善策を検討していく上で、「実際にどのような作業が行われたのか」、「何が手順を遮っていたのか」というように、規定された手順と、実際の手順や起きてしまったエラーとの関係を明確にすることが重要である。こうした検証作業により、各種手順等の問題点を明らかにし、改善を進めていくことである。
日常の多忙な業務の中で、錯誤、混乱等によるエラーを防ぐためにも、院内の各種手順等は可能な限り統一しておくことが望ましいが、こうした院内規定の検証を進める際にも、各種手順の標準化を図っておくことが有効である。
3. 医療機器や器材の採用、保管・管理方法の統一化
「診療科(病棟)によって、使用する医療機器や器材が違う」というように、院内で規格の異なる医療機器や器材を複数採用することは避けたほうが良い。取扱方法が異なる医療機器や器材が混在することで、通常時はもとより緊急性の高い処置や治療が必要な場面で、混乱から誤操作につながる恐れがある。
また、院内の各種医療機器や器材は、定期的、計画的な点検の実施、安全、適切な保管を行うためにも、その保管、管理、配置などについて院内の基準・手順を明確に定め、その統一化を図る必要がある。
4. 院内の構造に係わるもの
院内の構造上の問題点を明確にするためには、いつ(日中か夜間帯かなど)、どこで(トイレか病室かなど)、どのような事故(滑ったのか、ぶつかったのかなど)が発生しやすいのか、レポートの統計処理によって把握すると良い。病院の構造に係わることを明らかにすることで、院内全体の問題として捉えやすくなり、改善への取組内容の優先度を決めやすくなる。
5. 患者の身体機能や動作・行動パターンなどが影響する事故
転倒・転落や誤嚥などのように、患者の身体機能や動作・行動パターンが影響するものについては、アセスメントツールの活用などによって患者ごとのリスク評価を行い、リスクに応じて個別性を考慮した予防策を立案することが重要である。 |